T O K Y O

去年(2015年)の秋ぐらいから東京と松山を行ったり来たりしています。 仕事のために行っているのですが、長期出張のような形になっているため、 現在はホテル暮らしではなくマンスリーマンションを借りて生活をしています。

また、「行ったり来たり」の間隔が不定期で、大阪や九州に出張したこともあれば、 松山で仕事をしている期間もあっため、住んだ場所は時期によって異なり、 一年半という短い期間ではありますが、色々な場所に住む経験をしました。

歌舞伎町のカプセルホテル

東京に来て一番初めに「住んだ」のは新宿歌舞伎町のカプセルホテルでした。

当初はそこまで長期の出張にはならないだろうと思っていたので、 平日はホテルに宿泊して、週末は松山に帰る生活をしていました。

また、一度も東京で働いた経験がなかったことと、 いままでずっと田舎でのんびりと仕事をしていたことから、 満員電車での通勤を避けたいと考えました。

そこで勤務地の近くかバスで通勤できる場所にあるホテルを探しましたが、 都心ということもあり、普通のビジネスホテルでも宿泊料金は一泊10,000円前後します。 しかし、調べてみるとカプセルホテルであれば一泊3,000円前後で泊まれることがわかり、 好奇心もあったため、泊まってみることにしました。

歌舞伎町のラブホテル街にあり、そこそこ古くカプセルホテルの中でも最安クラス。 泊まる前は不安もありましたが、サウナ付きの大浴場(塩素臭がすごい)があり、 実際に「住んで」る人もいるほど快適で、毎週のように滞在していました。

しかし、出張が長引きそうだったことや毎週の往復が大変だったため、 マンスリーマンションを借りることにしました。

神楽坂

インターネットで調べていて目に止まったのが神楽坂でした。 京都っぽい雰囲気を感じ、独り身でも楽しめそうだったので住むことにしました。

赤城神社や毘沙門天などの歴史のある史跡も良いのですが、 ひとつひとつの狭い路地を、その先になにがあるのかワクワクしながら歩きました。

字のごとく、もの凄く熱いお湯の熱海湯や、たまの深夜しか営業していないまる田、 活気とボリュームのある中華料理店(看板にはThe Lahmenと書かれている)龍朋や、 ひとつひとつの本棚に世界が拡がるかもめブックス。

上げればキリがないほど、魅力的な場所が多く、 今でも時々訪れるのですが、歩くたびに新しい発見のある街です。

江戸川橋

次に住んだのは、神楽坂からほど近い、江戸川橋でした。

マンションのある場所は護国寺まで真っ直ぐ伸びる音羽通、 ベランダから見る外の風景は「東京」でした。

神楽坂と比べると飲食店やお店は少なく、静かな街と感じました。 季節は秋で、音羽通のイチョウ並木も素晴らしかったのですが、 通勤時に江戸川公園で紅葉の移ろいを見られたことはいい時間でした。

マンションの背にある関口台の上には、丹下健三が設計した 東京カテドラル聖マリア大聖堂や、山県有朋の屋敷でもあった椿山荘、 日本初の「春画展」で歴女が集結していた永青文庫など、 歩くだけでも楽しめる街でした。

茗荷谷

年が開けて2016年、茗荷谷に住みました。

江戸川橋や護国寺よりもさらにお店が少なく、 とても山手線の内側にあるとは思えませんでした。 住んでいる途中に、九州への長期出張が発生したため 長い滞在ではありませんでしたが、静かで落ち着いている街でした。

南池袋

春が過ぎた頃に住んだのが、南池袋でした。

最寄り駅は池袋。大きな街の近くにありながら夜は静か。 個人経営の小さなお店がぽつぽつとあって、雰囲気のいい裏路地。 墓地の横の細い道を抜ければ雑司ヶ谷鬼子母神堂。 サンシャインのほうに向かって歩けばなんでも揃う利便性。 交通の便は言うまでもなく。素晴らしい街でした。

目白台

夏の終わり頃、目白台に住むことになりました。

目白通りから神田川まで下る急坂が南北にいくつも走っていて、 (映画版「時をかける少女」に出てくる富士見坂など) 坂の上からの景色は良く、坂の下からの絶望感は凄まじく。 坂のない街で生まれ育った自分にとっては、 新鮮でしたが不便さもあると感じる街でした。

武蔵小山

秋になり、初めて山手線の外側に住んでみようという気になり、 勤務先まで一本で行ける東急目黒線の武蔵小山に住みました。

凄く長い商店街が有り、とにかく人の数が尋常じゃない。 今まで住んだ街が少なすぎたこともありますが、 クリーニング店にある行列の風景には面食らいました。

もちろん人が多いので、それだけ便利なものは揃っていました。 大きめのスーパーやドラッグストア、TSUTAYAなど 田舎ならどこにでもあるものが、今まで住んだ場所にはないか、 あってもそれなりに歩かなければいけませんでした。 ここでは駅から家までの間で大抵のものを手に入れることができました。

また、近所には清水湯という天然温泉があり、 数回、週末夜に訪れたのですが、いつも混雑しており、 浴槽に入るのに順番を待つほど。当然ほとんど足など伸ばせません。 江戸の銭湯はこうだったんだろうなとポジティブに考えながら楽しみました。

つづく

振り返ってみると、ひとつひとつの街は良かったし、 それぞれにそれぞれの楽しみ方があったような気がします。 自分も、もう若くないので、キラキラした街や 賑やかな場所への抵抗は増えていっています。

松山にいた頃には全く知らなかった街に住んだり、 訪れて歩いてみて、東京の器の大きさに驚きました。 またどこかに住むことになれば、先入観を持つことなく、 一日を楽しく過ごして、良いところを見つけていきたいです。